ジャンゴについての贅言
縁あってジャンゴ・ラインハルトの音楽に長く携わってる。演奏している人などからは「あー、あの音楽ね」などと語られることが多く、それについてはなんとも思わないけれど、ジャンゴをちゃんと聞いている人ってどれくらいいるのだろう、とたまに思う。個人的にはキース・ジャレットやクリフォード・ブラウンやソニー・ロリンズと同じぐらいすごいと思うけれど、あまりそういう風に語られない。「指に障害抱えていたのに頑張ってギター弾いて、あのスタイルを作った人ね」といった印象を持たれている気がするけど、私は極端に言えば「あのスタイル」ではなく、晩年のエレキギターの演奏の方が好きだ。
ただジャンゴのエレキギターには「あのスタイル」に精通している人も興味を示さないこともあるのが残念だ。数年前にMichel Perezというエレキギターを主に弾くフランス人ギタリストと食事をした時「ジャンゴのエレキギターの演奏はもっと見直されるべきなのに、みんなマカフェリギターの演奏についてばかり語る」と彼は嘆いていた。
かといって、私は面倒見も性格もそれほどは良くないのか、不特定の人に「ぜひ聞いて欲しい」などと微塵たりとも思わない。誰でも先入観や印象持つし、食わず嫌いも偏見も立派な個人の権利であり個性。私も先入観を抱いてしまっていることもあるし(後になって「あー、自分はわかってなかったなあ」と反省することもしばしば)、みんなが同じもの聞いて褒め称えているのも気持ち悪いもんです。
じゃあなんでこんな文章書いてるんだ、ってことになるかもしれない。親しい人とはこの手の会話したことあるけどあまり口にしたことないな、と思ったもんで。まさに贅言ってことになりますね。
そんなわけで明日千駄木にてジャンゴの「あのスタイル」のライブです。よろしくお願いします。
千駄木 ペチコートレーン
19:30~
Gt 河野文彦、手島大輔 Ba 阿部