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阿部恭平の
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Vol.085
2018 12/23 Sun.
カテゴリー:

行蔵は我に存す

 

最近、勝海舟に興味を持って「氷川清話」を読んだ。元々優秀な政治家と思っていたけれど、いわゆる江戸っ子気質のような語り口とさっぱりとした中身にますます好感を得た。鎖国された社会から海外に行き、海外に染まりきってもいないし、ナショナリズムに染まってもいない。江戸時代の人間として赤穂浪士を罰した荻生徂徠を認める点も(丸山眞男とは違う意味で)面白い。リベラルというか、すごく様々なことを客観視出来たのではないだろうか。
さて本の中にあるわけではないが、福澤諭吉とのやりとりは面白い。福澤諭吉は幕府の人間だったのに明治政府におもねるような立場になった勝海舟を批判する。勝は以下のように返したと言う。

「行蔵は我に存す。毀誉は人の主張、我に与らず我に関せずと存じ候。各人へ御示し御座候とも毛頭異存これなく候」

行動の責任は自分にあるが、誉められる貶されるは人が決めることで自分の問題じゃないよ。何を言われても特に意見はないのであしからず。

ってなところだろうか。内心は福澤を所詮学者、と思っていたようだが、皮肉を込めて「異論はない」と返しているのも上手い。

勝海舟の皮肉はともかく、何かと人の評価や印象やらがよぎる社会においては見落としがちの精神のように感じるもんで、自戒のようにたまに思い出す言葉ですね。特に「誰とやった、どこでやった、どんなことやった」などという泡沫のようなことで評価されることの多い、演奏に関わる人間なんかにはそれくらいがちょうど良いのかもしれない。とはいえ、本質をつくような意見には心して聞くし、すごく勉強になることも多いけれど。

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