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阿部恭平の
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Vol.184
2022 02/08 Tue.
カテゴリー:

二月前半

時間ばかり増えて困る。多少あった二月最初の予定もすべてなくなり、一月末の予定もなくなった。生存報告のような意味も込めてまたここに文章を記すことにする。音楽のことについて自分のことも他者のことも具体的に書くのは不粋な気もするので割愛するけれど(というか、ある時期からずっと割愛しているけれど)、冒頭に「困る」とか言ったけれど、実はあまり困っていない。とにかくやるべきこと、身につけたいことが多すぎるもので。

 

先日たまたま谷崎の本が目に入ったのでそこから『鍵』を読んだ。個人的には谷崎潤一郎という人は「日本人の誇り」「世界的作家」として売り出しても良い人だと思っている。若い頃から晩年に至るまで、ずっと精力的に書き続け、しかも物語の展開は実に多彩で面白い。文章は上手いが、決して技術におぼれることなく、それでいて深い。アメリカのロストジェネレーションを始め、海外の多くの作家からも尊敬され、影響を与えている。もちろん人によって好き嫌いはあるだろうけど、どれも名作で随筆や独り言みたいな文章だって面白い。そんな彼の晩年の代表作が『鍵』なのだが、久々に『鍵』を手に取り読んでみると。。。「日本の誇り」とか先ほど書いたのが訂正したいほどの気分になる。もちろん面白い、読み始めると展開にひっぱられる。しかしまあ、なんというか変態ですね、この人。『瘋癲老人日記』も同じく晩年の佳作なのだが、同じくらい奇妙な性的趣味と言える。とはいえもともと『卍』やらもそうだし、そういう人なんだけど。

「人類の誇りともあろう谷崎はド変態」という結論じゃせっかくの生存報告も味気ない。今は最近手に入れた(買ったのではなく、もらったので「手に入れた」という書き方になる)、昨年出版のベンヤミンの随筆を読んでいる。なんだか今の時世にあっている気のする、味わい深い箇所があったので自分のためにも抜粋しておく。

 

人類は、その必要があれば文化が終わったのちにさらに生きながらえてゆく心構えをもっている。肝要なことは人類が笑いながらそうするということだ。もしかするとこの笑いは野蛮にきこえることがあるかもしれない。それでよい。ときおり個人が少しばかりの人間性を大衆に引き渡すということもあだろう。大衆はいつの日か、複利をつけてそれを個人に返すことになる。『経験と貧困』

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