ハロウィンの思い出
子供のころ、自宅の近くに祖母の家があってその近くでハロウィンのイベントをやるから行っておいで、と言われた。祖母と母とで祖父の遺品の古びたコート、ベレー帽、パイプなどを準備してくれて、ホームズみたいな(なぜそれを選んだのだろう?)探偵の仮装をした。ヒゲ代わりに鼻の下に黒く塗ったバンドエイドをつけたのも覚えている。
近くの英語の塾?みたいなところに行ってTrick or Treat? の文句を教わり、お菓子をもらった。不思議なことにそのイベントに祖母や母親はついてこなかったので、行き帰りは自分一人で仮装したままだった。すると自分より明らかに年上の小学生高学年くらいの女子のグループとすれ違った後に、「何、あのおじさん」と言われたことをはっきりと覚えている。自分の仮装が見事だったのか、おじさんみたいな風貌をした小学生だったのか、は皆さんのご想像に委ねる。
これが唯一のハロウィンにまつわる記憶だ。なにせ自分が子供の頃なんかはハロウィンをそんなに騒ぐこともなかった。ある時期から大人が仮装して騒ぐ儀式にかわったようで、渋谷の交差点がとんでもないことになっていると聞いた。しまいには仮装しているのをいいことに、犯罪もおきているとか。なんと愚かな。ワールドカップで日本代表が勝つと渋谷の交差点で集まって大騒ぎするのとハロウィンに騒ぐの、似たような時期に恒例化されたような気もする。渋谷が混乱すると警察が、騒ぐ人たちに阿るような注意勧告をするやらで、神対応だとか賞賛されていた。自分は「ええじゃないか」精神で迷惑行為に及ぶ人々はもちろんだが、そんな連中に媚びるような警察も、それを賞賛する人々も、まとめて冷ややかに眺めていた。
ハロウィンに最近かかわったのは、演奏がその時期に重なり何曲か仮面をつけて演奏したとかそんなものか。あとは電車での仕事のとき、渋谷を楽器を持って通るのは怖いから遠回りして帰ることもあった。やれやれ。でも最近はおちついてきた、とも聞いたかな。
なんにせよ子供が仮装して近所を歩くだけの儀式ではなく大人も一緒になったハロウィン。これが幼稚化なのか、西洋的なのか、私は知らない。少なくとも2000年代のパリではなかったと思う。でもロサンゼルスであの(厳しそうな)ハイフェッツがバッチリ仮装して生徒に囲まれておどけてる写真など、ちょっと可愛い。
今にして思えば、冒頭に書いたような一記憶があるのも、ハロウィンという儀式によるものだろう。すれ違った女の子達に「おじさん」と呼ばれたのがなぜか嬉しくて、母親に自慢気に報告したのも覚えている。記憶に残るような時間は貴重だと年を重ねると日々実感する。
ハロウィンにまつわる曲として、何年か前にGreat Pumpkin Waltzを知った。作曲者であるVince Guaraldiの演奏も大好きだが、Chick Coreaのトリオによる演奏もお気に入りで、ハロウィンの時期に関わらず、思い出した時に聞いている。ChickもPatitucciも彼らの演奏の中でも最高の部類のものだと思う。
ということで(もしも関わるものに参加するならば)各々の記憶に残るハロウィンを。









