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阿部恭平の
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Vol.021
2016 08/20 Sat.
カテゴリー:

日々雑記 楽器の話

先月スコットランドに行って、リハや本番をあわせてベースを5日間で5つ弾くことになったのですが、色々と考えさせられることもありました。一番最初のリハのベースは異常に弦高(弦と指板までの距離です)が高く、小指だったら余裕で入ってしまうほど。当然弦高が高いとそのぶん両手に負担がかかるものでして、珍しく右手の中指の変なところにタコが。

「昨日よりはいいベースでありますように」と祈りながら次の日のリハを迎えると、こちらはそれなりに弾きやすい。その数時間後に本番だったので「あーよかった」と安心していたら本番ではまた違うベースが運ばれてくる。最初のベースほど弾きづらくはないけれど楽器のエンドピン(ベースの高さを調節するものです)を伸ばすとひどいノイズが発生する。仕方ないからエンドピンは出さずに背の低いままの楽器を弾くことに。スタッフから「今新しいベースを調達させるから、間に合えばそちらで!」とか言われるまま、サウンドチェックはそちらで行う。本番数分前に「楽器が届いた!すぐにセッティングしよう」という話に。お客さんがたっぷり入ってくる中ささっと音を出して、そのまま本番。いやはや。

というわけで一応私も外国人の楽器の扱いを知っているつもりだったので、「日本の楽器に比べたら状態は期待できないな」などと覚悟していたつもりだけれど、それ以上に思い知らされました。最終日のベースは地元のベーシストから借りてかなり良い楽器を使うことができましたが。

しかしまあ、こういう逆境に強くならなくちゃな、ということも含め帰国してからすぐに弦高を高くしてます。いかにバランスよく音を出すか、まだ模索中ですが今のところ「もとに戻そうかな」とは思ってません。もちろん指への負担は増えましたが、その分音圧など得るものもあるかな、と。

話が飛ぶようですが、コントラバスっていう楽器は見かけのせいかすごく誤解されやすい気がしますね。場所(音環境)にもよるけれど、基本的には弱音楽器です。ギターなんかよりはそりゃ大きいけれど、管楽器や打楽器、グランドピアノなんかにも絶対勝てません。弦楽器同士でもオーケストラを生で見た人ならわかると思いますが、よほど良い位置でないかぎり、チェロとコントラバスでユニゾンなんかすると何も聞こえません。(この楽器をやっている人間ですら、です)もちろんステージ上ではうっすら鳴っているんですが。

でもたいていの人はそうは思っておらず、「他の楽器(管楽器、ピアノ、ドラムなど)がマイク使わずにやってるんだからベースも生でやればいいのに」というような意見もお客さんや共演者等から言われることがありますが、まわりに負けないように大きな音を出すことが演奏の目的ではなくて、「心地よい音量と音色で」奏でることが目的なんでねえ。(とか書いていると言い訳っぽいけど)もちろん良い具合にベースが響くような空間だったらその編成でも生音でやることもありますが。

かくいう私も20代後半くらいまでは「もっとうまくなって、もっと良い楽器を使えば、ドラムにも負けないくらい大きな音を出せるようになるはず」とか信じていたし、大きな音を出すために色々と取り組んだこともあります。全てに意味があったとは思わないけれど、「無駄に力を入れ過ぎず、かといって力を抜き過ぎず」という自然な鳴らし方が一番理に適っているのかな、と最近は思っています。

何事もそうかもしれませんが、自分の変化と共に相棒(楽器)に対する考え方も変わっていくものなのかもしれませんね。

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