機材について
よく楽器は騎手にとっての馬に例えられるみたいですね。よく状態見極めて手入れしなきゃいけないし、大事にするのは当たり前のこと。なにせパートナーですから。
しかしこんな話も。去年ぐらいのインタビューで知ったのですが、パット・メセニーがかつてのソ連で演奏する際に東欧製のギターを渡されてそれで弾くように言われたようで。馴染まぬままライブをこなして、ホテルに帰ってラジオを聞くと先ほどの自分の演奏が放送されている。紛れもなくいつもの自分の演奏でビックリした、とか。
自分の経験としても数年前にオランダ、スコットランドで演奏して毎回楽器やセッティングは違うけれど、録音を聞くと「まあいつもの自分かな」ってなもんでした。
やはり楽器や機材にこだわりが強いのはギタリスト、エレキベーシストが多く、たいていの人が何かしら試したい楽器や機材があるような気がします。次が管楽器やドラム、ピアニストはあまりないかな。(毎回使う楽器が違うってのもあるでしょうが)
ギターのY君なんかは(別に最高級の楽器をたくさん持っているわけでなく)「別に欲しい楽器とかないよ」とか言っているので「潔いなあ」と感心します。あと自らで改造したギターを使っているロマーヌは雑談でそんな話になった時に「高価な楽器、博物館レベルのギターもたくさん触ってきたし、使ってた時期もあった。でも今は新しい楽器や高価な楽器で興味のあるものはない。現在のギターで不便に感じたことはないし弾きやすい。自分のやりたいこと全て出来ている」と断言していたのを聞くと「かっこいいなあ」とすら思ってしまいました。(Y君もロマーヌも、今は新しい楽器に目をギラギラさせてるかもしれないけど)
とはいえ、試行錯誤も向上心のあらわれだろうし、自分もそこそこ機材の話は好きです。人のベース弾いたら弦の感覚はわかるし、色々とチェックはします。ただ「大好きな音を出すベーシストがこの弦使ってる」とその弦を使うとしても「弦変えたら、なんとその人の音色になりました!」ってことはないと、経験上断言できます。もちろんニュアンスは感じられたりヒントになったりもしますから、経験として悪いこととは思わないけど。
大事なようで全てではなく、とはいえ音色の要素としては大きい。なかなか難しい関係です