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Kyohei
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阿部恭平の
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Vol.219
2023 04/15 Sat.
カテゴリー:

「永遠と一日」を求めて

たまたま知人とギリシャの話になり「自分はアンゲロプロスっていう映画監督が好きで」ということを言った。なんて作品が好きですか、と聞かれたもんで「永遠と一日」と返した。不思議なもので、好きな作品にランキングなんて普段つけているわけでもないのに、聞かれたらすっと答えが出た。人の無意識というのはこういうところに表れるのかもしれない。
「明日の長さは?」「永遠と一日」というやりとりは最初に見た時から詩的に感じられて好きだった。「また見つかった。何が?永遠が」という詩(@ランボー)からの発想だろうか。まあそんなことを思い出したら映画を見たくなるもんでDVDを探すとなんと廃盤。中古はあるものの、ほとんどがレンタル落ち。しかもやたら高く、定価の1.5倍はザラだ。じゃあ(やったことないけど)サブスクなら見られるか、と検索してみるも見当たらない(探しかたが下手なだけかもしれないけど)。TSUTAYAとかにあるかもしれないけど、近所のTSUTAYAは閉まってしまった。神頼みのように名画座などでの上映情報を探すも、もう10年以上は上映もされていないようだ。そんなわけで渋々、高いDVDを購入するに至った。仕方ない。
とはいえ、困ったものだ。私なんかはまだいい。若いうちに探せばアンゲロプロス作品に触れることはできた。若者は触れることもできないし、ましてや作品が良いかどうか知りもしないで6000円、7000円と払ってDVDを購入できる若者は少ないだろう。商売は実績が第一とはいえ、このまま多数決みたいに少数派が排他されていけば、かつての名作が消えていくのでは、と懸念を抱いてしまう。
そういえばアンゲロプロスの作品は音楽もよかったな、と作曲家を調べるとエレニ・カレインドルという人。色々と聞くと好みなもんで彼女の作品集を探すと、サックスのヤン・ガルバレクなども参加してECMから発売している。ECMレーベルで好きなものもあるけれど、時おり欧州コンプレックスみたいなものも感じるもんで、盲目的に賞賛するつもりはないけれど、映画音楽がECMから出てるのは珍しいものでこちらも購入してみた。心地よい。ただ面白いのが映画のときのものとは印象が違うということ。「永遠と一日」のオープニングのピアノ曲、そのまま聞いてもちょっとショパンぽいワルツなのだが、映画の中では鳥のさえずりと風の音が入っている。普通音楽を聞くなかでは騒音に思われそうだが、計算されているのか、個人的には鳥と風の音が含まれている方が好みだった。何が騒音になるか、何が音楽的に聞こえるか、ということを改めて思わされた。

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