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Kyohei
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阿部恭平の
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Vol.220
2023 04/24 Mon.
カテゴリー:

加害者と被害者と他者

最近毎週のように好みの歴史ドキュメンタリーを続いているのだが、先日には戦後ベルリンのものがあった。戦争が終わると逆転のような現象が起きて、チェコなどではドイツ人の背中や家には印をつけたり、ドイツ人を入れない店なども数多くあったようだ。そしてドイツ人を集めて海岸に並べて射殺するなどの蛮行も。さらにはドイツを占領したソ連兵、イギリス兵、アメリカ兵などによる婦女暴行。その数年間は特にそのような混血の私生児が増えたという。ドイツがかつて占領していた地域で生まれたドイツ人達はもれなく難民となり、当時は出生地や、自分の名前すらもわからない子供も多く存在していたらしい。
ユダヤ人を始めとする被害者からすれば自業自得。ドイツにやられたことが行われただけとなる。私が話したことのある人でも「ドイツ人はどうしても好きになれない!」というヨーロッパ人は何人かいた。(彼らも年齢的にはもう他界しているかもしれない)しかし憎しみが新たな不幸を生んでいく様子を見ると、人間の愚かさを見せつけられているようで陰鬱たる気分になった。歴史は悪夢、という誰かさんの言葉の通り。
しかしその番組の最後の数分は現代の話に。昨年に始まったロシアのウクライナ侵攻、その際に積極的に難民の受け入れに積極的に手を挙げたのはドイツであった。数字が全てではないとはいえらポーランドに次いで二番目に難民を受け入れているのは(ウクライナの隣国でもない)ドイツとのこと。マスクをつけながらプラットホームまで難民を迎えにいくドイツ人の老女が語る。「私達も元はといえば戦後の難民の子供だ。ヒトラーとプーチンの姿が重なる今こそ、恩を返すときなのです」
他国を羨むのも、見下すのも本質的には同じようなものだろう。他国(あるいは他者)と同体になり得ることも、完全に共感するようなことも不可能だ。過去のナチスドイツを軽蔑し、難民を保護する今のドイツを尊敬するのが正しいかどうかわからないし、そもそも昔のドイツと今のドイツの違いが何なのかもわからない。所詮人の抱くイメージなんてものは現実のごく表層からの印象しかない。ただ彼女の言葉を聞いて、私の陰鬱たる気分は少し晴れたように思えた。

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