車の話ではないけれど、車に関わる話
あまりに故障やトラブルが増えてきたもので、車を買い替える。
元々知人に紹介してもらった個人の整備工の方がいて、前回は彼を通じて購入したものだった。安くて自分の用途にもちょうどよかったんだけど、古い車だったもので修理も多かった。近かったこともあって、その度にその整備工の人に直してもらっていた。年に一度くらいは何らかの修理を要したし、それと車検で2年に3回くらいは会ってきただろうか。
前回なんらかの時に連絡してみたところ、つながらなかったから近所のガソリンスタンドで直した。どうしたんだろう、と思っていたら、もともと紹介してくれた人から話を聞いた。どうやら裁判を抱えて夜逃げをした、とのこと。多くの人と車検や車の販売を約束しておいて、代金を受け取った後「部品がないから」とか色々な理由でそのままにしたとか。完全に詐欺じゃないか。
思えば結構いいかげんなところのある人ではあった。「~日までには修理終わりますよ」と言ったのに寸前になって「遅れます」なんてこともあったし、遅れるから代車用意します、と言って代車のガソリンが空っぽだったこともある。直してもらったところがズレていて再度やり直しを依頼したこともあったかな。ただ「気になったから」と彼から自発的に(私があまりに無頓着な)コーティングや傷の修復など、そういうサービスをしてもらったことも多々あった。きっと車自体は好きだったんだと思う。
もちろん自分が(たぶん)被害にあってないから彼は悪くないという話でもないし、被害者の方の大事なお金を踏み倒したというならば、彼は許されるべきではない。噂が真実ならば、という前提だけども。
新しい車の契約でディーラー店の中でコーヒーを飲みながら窓の外に目を向けると、整備工の方が誰かの車を懸命に磨いている。夜逃げしたという彼も元々はディーラー店で働く整備工だったという。個人経営などせずにそのまま働いていたならば、今とは違う人生だったのかもしれない。個人で直接お金をやり取りするようになり、例えば300万を渡された時に実益は50万なのに300万全てを自分のものと勘違いしてしまったのだろうか。
暑い時期に作業をお願いする時や、私の都合で夜遅くにお願いするときなどは(彼の好きな)微糖のミルクコーヒーをお礼として渡したものだった。「こんなものですみません」と言うと「こういうのが一番嬉しいんです」とニコニコしていた。彼の娘さんが結婚式をやる話から、聖歌隊などを呼ぶ場合の予算を聞かれたこともあった。
彼のご家族、娘さんはどうしているんだろう。濃い目のコーヒーを飲みながらそのまま窓の外を眺めていると、担当の方から「お待たせしました」と声をかけられた。









