>

Kyohei
Abe
OFFICIAL BLOG

阿部恭平の
ブログ

Vol.155
2021 04/02 Fri.
カテゴリー:

チャップリンの描く悪

今年はあっという間に春を迎えた気がする。野球も開幕、しかしベイスターズが不調。ヤクルト村上のホームランの大きな放物線を眺めてからリモコンを手に取り、だいぶ前撮ったきりのチャップリンの「殺人狂時代」を見ることにする。題名はもちろん知っていたが初めて見た。チャップリン扮する犯人による「何万人も殺せば英雄だが一人殺せば犯罪者」という有名な台詞は知っていたが。
どうやら原案はオーソン・ウェルズらしい。言われてみたら様々な面に彼らしさがあふれている。本作の「殺しはビジネスだ、今もなお戦争や紛争で経済はまわっている」という台詞と「第三の男」でオーソン・ウェルズの「戦争のない平和なスイスが生んだのは鳩時計だけだ」という台詞は通底しているものがある。はっきり言ってチャップリンらしくない作風だし、オーソン・ウェルズが監督・主演でも見てみたいものだった。
チャップリンがやるとどうしても犯人に愛嬌を感じるし、実際に人から逃げたり物を隠すような場面はコミカルだ。後半には人情味ある場面も出てくる。殺人の話なのにどこかコミカルかつ人情味があふれる、そういう意味では作風は違えど実にチャップリンらしい作品なのかもしれない。クレーメルやヨーヨー・マがピアソラの曲集をやったり、スタン・ゲッツがボサノヴァに挑むようなものか?個性があふれるばかり、他ジャンルに挑んでも個性的になっているというか。(わかるような、わからない話)
さて先月までチャップリン作品が毎週放送されていてちょこちょこと見てきた。チャップリンといえばコメディーと人情話、という印象はなんとなくあったけれど、改めて見るとどこか残酷さを伴ってるとも思った。「街の灯」では目が見えなかった女性が目の治療を経てチャップリンの姿をみて嘲笑するし、後には自分を救った人がこんなうだつのあがらないオジサンだったのか、とガッカリした表情を浮かべる。「殺人狂時代」でも自分を勇気づけてくれた男の裁判を女性は冷ややかに見つめる。「黄金狂時代」ではチャップリンの招待を女性はあっさりすっぽかして遊ぶし「ライムライト」でも、、。と書いたところで、チャップリンは女性の描き方が独特なような気もしてきた。いずれにせよ「街の灯」の女性に対してそっと微笑んだり、そういう残酷さや至らないところに対してでも許容するのがチャップリンなんだろうな。ウディ・アレンもそういうとこあるかな。「マンハッタン」でヘミングウェイの孫娘の話を聞いてそっと微笑む。

とにかく秋には映画を見る暇もないくらいのベイスターズには快進撃を期待するとしよう、今年はスロースターターだろうけど。

この投稿をシェアする
WEBブラウザでFacebookアカウントにログイン状態にするとコメントを残せます。

阿部恭平の広告

阿部恭平のINSTAGRAM

  •  Instagram
  •  Instagram
  •  Instagram
  •  Instagram
  •  Instagram
  •  Instagram
  •  Instagram
  •  Instagram
  •  Instagram
  •  Instagram

阿部恭平のブログカテゴリー

阿部恭平のブログアーカイヴ

阿部恭平のブログ検索

一番上に戻る