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Kyohei
Abe
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阿部恭平の
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Vol.158
2021 05/04 Tue.
カテゴリー:

エバンスの小品

ビル・エバンス、ジャズに興味を持つ人なら一度は聞くピアニストだろう。私も今でもたまに聞くのだが、こちら側の感覚が変わったということなのか、そこまで興味を持たなかった曲に惹かれる。
元々はやっぱりWaltz for Debby、My foolish heartの深いベースの音とピアノ、ドラムのシンバルから始まるあのアルバムに一番熱中したような気がする。スコットラファロのベースの自由自在さたるや、それはもう新鮮でAlice in wonderlandやMy romanceなどを採譜したものであった。その後晩年の作品にもすごく熱中した時期もあった。エバンスの作曲、アレンジという意味では晩年の方が好みかもしれない。酒バラ、like someone in loveで行われる転調はもちろん遺作(ということになるのかな)のソロピアノ、Your storyのハーモニーの移り変わりも素晴らしい。ただし演奏の質という意味では晩年よりもそのラファロとやっていた頃の方が深みはあるように感じる。もちろん彼の体調の問題もあるんだろう。
最近はなぜかExplorationsに入ってるHaunted heartに惹かれる。昔はIsraelとBeautiful loveというこの伝説的なトリオを象徴するような演奏に挟まれた地味なバラードくらいの印象だったが、長く過ごした友人のような心地よさを覚える。他の演奏に比べたら実に短い、たった3分ちょいの演奏だが無駄な要素が一切ないせいか、しみじみと曲の良さを感じる。
本や映画ではそうでもないけど、音楽についてこう書いていくとなぜか恥ずかしいもんですな。まあ興味ある人は何らかの方法で聞いてみてください、聞く手段はいくらでもあるだろうから。しかし手段や方法はこれだけ増えても人間の感じ方はいつまで経っても二通りしかない。グッとくるか、こないか。そしてその感覚を他人と完全に共有することはできない。下品な表現になるがフロベールはかつて「勃起、勃起が全てだ」と、ボードレールは「酔い続けることが一番重要だ」と書いた。決して性欲やアルコール中毒の話をしたいのではなく、どれだけ時代が変わっても、結局はあらゆるものの発着点はそういったところにある気がしてならない。

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