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Kyohei
Abe
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阿部恭平の
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Vol.159
2021 05/19 Wed.
カテゴリー:

本場にいけ、と人は言う

Mais ils sont où ?
という表現を渡仏したばかりのころに教えてもらった。直訳すれば「(それにしても)彼らはどこにいる?」みたいなことになるが、実際には相手を消し去ったのか、相手が逃げた前提なのか「やってやったぜ」とか「敵じゃないぜ」みたいな意味になる。スポーツなどでよく使われる表現で当時ワールドカップが開催中だったもので友人が教えてくれた。フランスがスペインだかどこかに勝って、ユニフォーム着て国旗持ちながら歩いてる家族がいてその子供が自分に「やったよ、やったよ」てな具合に絡んできたもので上記の表現を伝えると、彼も嬉しそうにその表現を連呼していた。日本でいくら本を読んでも身に付きづらい表現の一つだろう。
自分はなぜかフランス人といえば暗いイメージを持っていたがスポーツで大盛り上がりするし、大人なのに誕生日になるとパーティーを開き、そのパーティーで知り合った同士でまたパーティーをやるようなことに驚いた。しかも平日ならば夜から朝まで、朝からならば夜まで、食べ続けて飲み続ける。延々と喋る。日本の数時間の宴なんて彼らからすると触りみたいなものだろう。私も楽器を持って歩いてたら近所のおばさんに「今度うちでパーティーやるから楽器もってきてよ、ピアノ弾きもくるから。お腹空かせておいで」とか言われたことがある。なんたる気さくさ!こんなにしょっちゅうパーティーやっていつ小説書いて哲学考えているんだろう、と不思議に思ったものだった。
本場、現場でなきゃ学べないことはたくさんある。だからと言って上記のようなことを知っていたからといって何か意味あるのかどうかもよくわからない。ジャズのセッションに通いつめて見知らぬ人達との演奏で技術を高めていった人、セッションにほぼ通わずに仲間との練習や自宅での練習で高めていった人、どちらも知っている。もちろんそこに優劣はない。
ただ個人的には、例えば武田泰淳や武内好の中国古典研究が現地の中国人に驚かれた、とか、英国人が吉田健一の格式高い言葉遣いに驚嘆した、などという話は勇ましく聞こえる。(吉田健一の親族は関わりたくない人ばかりだが、それはまた別の話)現地、本場というある種の権威を意識することなく、独自の評価を得るのが実に好ましい。

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