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Kyohei
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阿部恭平の
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Vol.160
2021 06/02 Wed.
カテゴリー:

喋ることと喋らないこと

テニスの大坂なおみが全仏オープン中のインタビュー拒否を宣言。罰金を課され「今後四大大会の出場権利剥奪か?」などと様々な声が上がった結果、彼女は自ら「プレー以外で騒がせてしまったことを含めて」大会自体を棄権する。
元々私はテニスをそこまでじっくりと見ることもないし、最初に彼女のインタビュー拒否宣言を聞いたときにも「ふうん」としか思わなかった。賞賛も批判もなく、ただ「ふうん」と。しかしその後の流れはどうもひっかかっている。
まず驚いたのがテニス界ではインタビューが義務なのか、ということ。私が比較的見ている野球や相撲では「質問を向けましたが無言でした」なんてことはしょっちゅうあるし、それに対して無礼だとか罰金だなんて話は聞いたことはない。勝っても負けても調子良くても悪くても、インタビューに答えないことが場合によっては競技者の精神状態を何よりも雄弁に語っていることもある。しかも彼女は試合前からインタビューしない、と宣言しており、その通り試合に勝った後インタビューをしなかった。「する」と約束していたのにすっぽかすならともかく、予告通りでなんでそんな批判されてるの?と思ってしまった。
とはいえ、普段からテニスを見ているわけでもない私がどうこう言うのも無粋だし、テニス界ならではの風習もあるんだろうから、ただの独り言と聞き流して結構です。なお大会の行われているフランスにおいては新聞記事をよむ限り、大坂なおみを批判する声よりは称賛の声の方がはるかに多いように見受けられた。まあフランスらしい反応だろうね。そして日本の記事では彼女の病気を見出しとして取り上げていたが、フランスの記事では小さく触れる程度。これは社会の差なのか、同じ日本人だからなのか。

別の話として、思い出したのが何年か前の白鵬の優勝。恒例の優勝後のインタビューを拒否してちょっとした話題になった。傲慢だとか、優勝を軽んじてる、とか批判も多かった。何日か経った後、白鵬はコメントを出した。場所中に夫人が流産したこと、まだ家族が落ち込んでいる中インタビュー中に「もうすぐ生まれてくる赤ちゃんへ捧げる優勝」などと話を向けられると辛いためインタビューを拒否した、ということが述べられていた。私は幸い白鵬贔屓ということもあり「なんかあったんだろうね」ぐらいにしか思ってなかったけれど、批判してしまった人達は多少なりとも決まりの悪い思いをしたかもしれない。
何にせよ人には喋る権利も、黙る権利もあるということ。逆に言えば、喋らなくてはならない、黙らなくてはならない、という強要を求める状況は極めて不自然であり、妙なしこりや傷を生むことになるかもしれない。

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