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阿部恭平の
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Vol.164
2021 07/21 Wed.
カテゴリー:

F君の思い出

ある音楽家が過去に障害をもった同級生をいじめていた、というニュースを目にした。その人自体に特に思い入れはなく、「YMOのギターやってるのか」と聞いてみたけれども、「ふーん」くらいの印象しかなかった。
目を背けたくなるようないじめの内容なのだが、個人的に一番異常に思えたのは年賀状に関する話だった。被害者の子が年賀状を出した。その年賀状には彼の母親が記したであろう縦線で枠をつくり、その枠のなかに「今年もよろしく」などとたどたどしく書かれている。それをその音楽家は(中学生ではなく、成人の視点でもって)「きたねー字で年賀状送ってきやがった」などと嘲笑う。本当に気分の悪くなる話であった。


しかしその年頃の子は残酷だし、無意識は罪になることは多々ある。話はだいぶ軽くなるが、中学の同級生のF君を思い出した。F君は背が小さく細い、よくしゃべる明るい子だった。時々まわりの友人に「F、うるせーんだよ!」とか言われて「なんだよー」とか言い返したりしてた。別にいじめられていた印象もなかったし、私を含めまわりの人もいじめてるつもりはなかったと思う。私は彼と同じ学級になったことはなかったが、塾で同じクラスになったことがあった。自分は彼よりもだいぶ遅く入塾したので、彼が得意な数学についてわからないところを聞いたこともあった。たまに駅まで一緒に帰った。しばらくしたら彼の成績をひょいっと追い抜き、違うクラスになったので滅多に会わなくなった。(ええ、自慢ですよ)
ある冬の日。高校受験の朝、彼と会った。彼も同じ高校を受ける。行きの電車、ずっと一緒だった。なにせ横浜市から新座市、長いし遠い。到着したら他にも同級生はたくさんいたのだが、受験を終えて帰る時もたまたま一緒になり二人で帰った。長い時間色々話したが、何を話したか全く覚えていない。最寄り駅が近くなった頃にF君は言った。「阿部くんっていい人だったんだね、ずっと誤解してた」

これに関しては別に自慢でもなんでもない、私は困惑した。「誤解?ってことは嫌なやつだと思ってたのか?」という思いや「(共通の友人である)あいつらにいじめられてると思ってたのか?」とか色々なことが頭によぎった。私の言う「あいつら」の中にだって、F君のことを嫌ってる人は一人もいなかったと思う。しかし彼は少なくとも不快感を覚えていたのだろう。
その後F君と打ち解けてより親しくなりでもしたら、物語的なのだが、その日を最後にそんなに話した記憶はない。挨拶やちょっとした話はしたけれど、最後に目にしてから20年以上経っている。今どうしてるのやら、元気ならいいな。
F君、これを見たらメッセージください。(見るわけないか)

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