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阿部恭平の
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Vol.195
2022 06/06 Mon.
カテゴリー:

ハイデガーからディラン・トマスに

先日にも触れたハイデガーについて、スタイナーという作家による評論を読んでいたらたまたまDylan Thomasの名を目にする。懐かしいなあ。Bob Dylanが自分の芸名に使った詩人であり、自分がボブ・ディランを追っかけていた頃に少し詩を読んだことがあった。たしか詩集も買ったような気もするが、そこまで熱中はせずにすでに手放している。たしか若くして亡くなったんだっけな、と調べてみると39歳とのこと。もはや自分より年下ではないか。

そんなわけでふと思い立ち、Web上で彼の詩を探してみると以下のような詩句を見つけた。

 

Do not go gentle into that good night,
Old age should burn and rave at close of day;
Rage, rage against the dying of the light.

 

この詩は特に有名なものらしく、翻訳も解釈も山ほどあるようなので、各々Web上でどうぞ。それにしても先日年をとった人間として、これほど理想的な形でこの詩を知るのも珍しい。that good nightやlightが具体的に何を指すのかわからずとも、とにかく(老いた人間が)何かしらのエネルギーを振り絞ろうとする意思があふれているのはわかる。40の節目として一応覚えておこうと思った。

詩集でも買おうかと通販サイトを見ると、高価なことに驚く。昔は中古の洋書なんて本当に神保町にいけば数百円で転がっていたものだが。そしてKindleだとまさに数百円程度だ。なんだかなあ。この2、30年、こういったソフトの変化にずっと振り回されている気がする。VHSからDVDやBlu-ray、CDからDownload、ガラケーからスマホ、などなど。「切り替えたらいかがでしょう、特典もたくさんありますよ」と勧誘してきて「いや、現状に不満ないし無理に切り替えることもないでしょ?」と対応しないでいるとやがて「じゃあ古いタイプのものは高いままですがいいんですね」てな具合にヤクザのようなやり口で社会は動いていく。もはや映像も音楽も個別のものを購入するのではなく、(DVD、CD一枚よりもずっと安い程度の)月額を払い続けて気の向くまま選んでいくのが当たり前になっている。自分の好きなもの、必要と思うものだけに敬意としてお金を払う、なんてことは未来の人から見たら信じられないことかもしれないね。おそるべし、社会を含む情況によって人々の習慣や感覚もかわっていく。

そういえば先の話題のDylan Thomas、奥さんに最期に残したと言われる言葉。子供でもわかりそうなくらい簡潔で、個人の感情と情況を端的に示していて、妙に共感を覚えた。

I love you, but I'm alone.

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