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阿部恭平の
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Vol.200
2022 08/12 Fri.
カテゴリー:

植民地とファッションについて

サイードの対談集を読んでいて気になったことがあった。カミュ、デュラスの小説に触れた後に、フランス人による植民地に対するノスタルジーについて言及していた。さらに「アメリカと似たようなものかな、ラルフローレン、コロニアルドレス、ハーフパンツ。まあそんな感じだよ」と続ける。

私には前半の「植民地に対するノスタルジー」についてはわかるような、わからんような、という印象であった。(サイードも自分が以前にフランスに行ったときにそういう印象であった、という個人的感覚という言い方であったが)私がフランス人と会話し始めたときには、すでにアルジェリアやベトナムがフランス領でなくなっており、そのような話題があがることは少なかった。しかしカミュやデュラスからは確かにそのような意識は感じる。(余談だが、フランスに住んでいる頃たいていの女の子が好きな小説について聞かれると「(デュラスの)愛人!」と答えていた。それを読んでフランス語を勉強したくなった、なんて子もしばしば。そんなによかったかねえ、「モデラート・カンタービレ」の方がよほどいいと思うけれど)

さて相変わらず話が長くなる、いよいよ本題。後半のファッションについて語っている件がさっぱりわからなかった。バカンスのときの格好なのかな?くらいのことしか思えない。調べてみるとコロニアルファッションというものが存在していることに少し驚いた。つまりは植民地にでかけるときのファッションということだ。私が思うに我が国には植民地を保有しているという意識はない。そのせいか植民地にでかけるという状況もイメージしづらいし、特定の土地を植民地のように扱うことも非礼というか、差別化してしまっているような気がしてしまう。

植民地は帝国主義の代物というわけではなく、現在も存在している。しかし「お、そのコロニアルファッション、素敵だね!」なんて誰かに言う感覚は私、あるいは日本人には馴染まないのかもしれない。

それにしてもサイードの対談は例外なく面白い。たまたま見つけた些細な話題であったが、思えばコロニアルもオリエンタリズムも似て通じることも多い感性の話なのだからサイードさんの得意分野なのだろう。学者のなかでは特にファッションに定評のある(個人の感想です)サイードが抱くイメージということで、勝手にラルフローレンをむやみやたらに着るのは控えようかな、などと思ってしまう。(それほど持っていないし、そんな理由で避けるのも影響されすぎな気もするが)

対談の最後にサイードは「真摯な知識人だけが外見に関心を寄せることができるし、外見に真摯に関心を寄せるものだけが知識人になりうるし、精神的なことにも注意が向く」などと言っている。耳も痛い気もするが、まあサイードさんが言うなら自分も前向きに努力しようと思ってしまった。(やはり影響されすぎだろうか)

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