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Kyohei
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阿部恭平の
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Vol.216
2023 03/16 Thu.
カテゴリー:

久々に老荘に触れる

先日待ち時間が長いなかウォークマンを忘れ、たまたま出がけにとった老子を読んで時間をつぶすことになった。他にやることもなかったので一気に読んだ。そういうとすごい集中力みたいだが、翻訳文しか読んでないんで、たいした量ではない。
なぜか昔から孔子よりは老子、荘子にひかれた。老荘思想の根本は孔子、論語のものとは違い「無為自然」、事を為さない、自然であることを重んじる。こう書くとただの怠け者みたいだけど、精神的な面についてのものでね。ただまあ、人間なにかと欲望があるもので、それに徹底するのも大変なことで。

大道廃れて仁義あり、とか好きな文句はいくつかあったのだけれど「善行に撤跡無し」の解釈は私の知らないものであった。私は「本当に良い行いは跡を残さない」といった意味かと思っていた。人にお礼を求めたり、いつまでも感謝されるような行いよりも、忘れ去られるような行動の方が品がある。まさに老子らしいなあ、と。しかし読んだ本の解釈としては「良い旅行者は足跡をのこさない」といった意味であった。さらには「戸締まり上手な人は道具を使わない」などと続く。こちらも実に老子らしいのだが、意味合いはだいぶかわる。人の思い込みとは厄介なものだね。
しかし改めて老子を読んだのは良い時間であった。思えば私が共演したり生で見た、特に異国の演奏家について「あの人って音大きかった?迫力すごかった?」などと憧れを込めて聞かれたことが幾度もあった。その音を思い出しながら大抵の場合「いや、普通かな、、」などと答えてきたが、これは(たぶん)私の感受性や記憶力が乏しいということに直結しない。本当に良い音や演奏は大きくも小さくもないし、激しくも大人しくもない。とにかく全てが音楽的であり、あらゆる要素が適切に感じられる。すごく音が大きいのも小さいのも、激しいのも静謐なのも、そのような印象ばかり先走る時点で老荘的には「一流」ではないってことになる。本物は迫力はあってもうるさくはないし、静かであっても音はしっかり響いている。これって音楽に限らないかもしれないね。
最後に、今回気になった老子の文句。
45章
大成は欠くるが若く、その用は弊れず。大盈は沖しきが若く、その用は窮まらず。大直は屈するが若く、大功は拙なきが若く、大弁は訥なるが若し。躁は寒に勝ち、静は熱に勝つ。清静は天下の正たり。
以上、書き下し文。解釈は山ほどあるようなんで、どうぞ探してみてください

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