先日みた映画。「友だちのうちはどこ」というイランの作品だった。監督のキアロスタミといえば「桜桃の味」という作品で有名で、小津安二郎の大ファンということで、20年ほど前にも小津安二郎のシンポジウムで来日し、喋っている姿は目にしたことはあるものの、彼の映画は見たことがなかった。学校でノートを忘れた友人にそのノートを届けようとする子供の話で、実に愛らしく良い気分になる作品であった。
どうやらそれは三部作となっているようで、本作は一作目。二作目はなんとその映画の後に起きたイランの大地震後のドキュメンタリーとなっているらしい。一作目に出演、撮影した人々が被災してどうなってしまったか。色々なことを考えさせられる。

その作品名は「そして人生は続く」、なんとまあ見事な題名。地震の悲惨さも、その後の人々の生も、どちらも微かにイメージさせる。考えてみれば、人は日々俯瞰してみればこんなことを思う。いいことがあっても、辛いことがあっても。つまらない日々でも、とんでもない衝撃を受けたあとでも、結局時間は流れていく。生きている限りは。

そうそう、余談だけれど先日誕生日を迎えた。ご丁寧に祝いの言葉をくれた方々、ありがとうございました。今年で自分の母親の享年に達したことになる。そのくらいの年まで生きたとしたら、どんな気分なんだろうな、などと12歳ぐらいから時おり考えていた。ちょうど何かの縁のように、母が働いていた同僚とも言うべき方々と会う稀有な機会も得た。なんだかんだあっても人生は意外と続く。