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Kyohei
Abe
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阿部恭平の
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Vol.224
2023 06/22 Thu.
カテゴリー:

礼儀知らずのマナー語り

例えば競馬。僅差の勝負のときには写真判定が行われ、「お手持ちの勝馬投票券はお捨てにならないように」とアナウンスが流れる。しかしまあ現実的には自分の買った馬券が当たってるかもしれないような時、頼まれたって捨てないよね。ではなぜこんなアナウンスが流れるのか。「(暫定順位が掲示板に出たから)外れと思って処分してしまったじゃないか、どうしてくれるんだ」という苦情に対してか。

こんなことはコンビニなどでも頻繁に起きている。例えばある程度高額な公共料金などを支払うときには「確認ボタンを押してください」と言われる。また煙草や酒を買う際には「二十歳以上の確認ボタンを」と言われる。いやいや、どうみても二十歳こえてるでしょ、って人に対しても。いずれも(たぶん)客に対する気遣いではなく、「我々は確認しました=何か問題があってもこちらは責任をおいません」の証拠作りにすぎない。仮に高額なお金を詐欺団体に振り込んでいても、二十歳以下の人に酒や煙草を販売してしまったとしても、それは店側の責任ではありませんよ、と。そんなことまで店の責任には元々ならないんじゃかいかね。「ではそういうクレームをつける客がいない、と保障できますか?」なるほど、できないね。

自分は永井荷風が好きなもんで、先日梅雨の晴れ間に「妾宅」を読み返した。かつては老人の愚痴に思えた作品も(荷風の作品はたいてい老人の愚痴か小言みたいなもんだけど)、年を取ったからか「荷風文学の真髄」だなんて言われているのも少しわかった気がした。その中でもあったのが女性の権利のために声をあげる人々について。荷風は昔から女性の権利、婦人参政権には当然賛成、という立場であることを述べた上で、正しいことだからといって主張せず、遠慮深くしている方が美しい、と述べる。月に村雲、花に嵐、だなんて比喩まで出して。江戸趣味だねえ。でもこういうところが活動家などから「日和見」と嫌われる由縁なんだろう。でも私みたいにおしゃべりな人間が言うのもなんだけど、言わない方が様になる、粋になることなんて山ほどある。もしも儀式じみた確認を適度に減らすコンビニがあれば、私はそれだけでその店を贔屓するだろうな。

ともかく不必要なほどの気遣いは暑苦しいし、ましてや純真な気遣いではなく「アピールしたい」「批判されたくない」とかなんらかの横縞な心が透けて見えるような行為はただ醜い。正しいとか間違っているという問題よりもそのみっともなさが気になるよ。それなら無愛想、礼儀知らずの方がいくらかマシだ。もちろんこれは、店のアナウンスだけの話じゃなくて。

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