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阿部恭平の
ブログ

Vol.228
2023 08/22 Tue.
カテゴリー:

アビシニアンのいる風景

私は幼い頃から動物と暮らしたこともなく、犬や猫の品種というものをそんなに知らない。が、ある日に痩せ細った猫を家に迎えてからその猫の写真を誰かに見せると「アビシニアンですか?」声をかけられることが多く、初めて行った病院でも、何日か前に駆け込んだ緊急病院でも、品種を確認する際に聞かれた。そう言われてアビシニアンという品種を意識するようになり、アビシニアンの画像をみては「おー、たしかに似てる、似てる」などと勝手に納得していた。

10年ほど前の初冬、痩せ細った野良猫を保護してから1ヶ月でご飯を食べなくなり、緊急病院に連れていった。検査の結果わかったことは年齢はおおよそ8歳、避妊手術済、猫エイズ持ち。ご飯を食べない理由は口内炎の悪化によるものだった。いわゆるキャリア持ちというものである。迷い猫として本来の飼い主を探していたが、最期まで世話を見ることを決意し、チューブでご飯をあげたり、ドライフードをふやかしたりしながら食事を与えていった。

やがて少し遠かった緊急病院から知人に紹介してもらった近所の病院に鞍替えし、定期的な通院は続くものの、猫エイズは発症しなかった。さらに時が経つと歯が自然と抜け落ちたこともあり、口内炎に苦しめられることもなくなった。調子のよいときには際限なく食べたがり、時には人間の食べるものにも興味津々、油断するとすぐ太った。

その後も時おり体調崩したりしていたが、大抵の場合薬やケアをすると回復していた。前回にも書いたが、先月後半くらいからやや食欲が落ち、口呼吸をしている時もあったので「風邪か最近の低気圧の影響か、年齢もあるかな」ぐらいの思いだった。その後悪化していくばかりので改めて精密検査をして原因がはっきりした。喉頭ガン。喉の気道がつぶされており、呼吸も食事も妨げている。手術はできないし、後は弱っていくだけで緩和治療しかできない。

そんなわけで前回の最後に書いていた願いは叶わなかった。セカンド・オピニオンも聞きに行ったし放射線や副作用のない点滴なども試してはみたが、一週間前の診断から悪化は実に早く、すでに酸素ルームからはほとんど出られず、食事も全くとれなくなった。私のいないときに私の寝床やコントラバスケースで寝てたり、逆に私が寝ていて気づくと横にいたり、こっちも声をかけて撫でたりしていたのが、つい最近なのに遠い昔のことのように思える。酸素ルームから出られる時間はほとんどないし、私が彼女に触れることもほとんどない。

人の生は動物の生よりも長い。今はまだアクリル板越しに一緒に過ごしているが、近いうちに「いなくなった日常」を迎えることになる。それを含めて動物と暮らすということなんだろうな。

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