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阿部恭平の
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Vol.231
2023 10/23 Mon.
カテゴリー:

緊張について

もう10月も後半、どころか終わりか。秋と春は発表会が多いものだけど、例にも漏れずそういう仕事も多い。
先日、たまたま終わったあとに感想というかコメントというか、そんなのを求められてつらつらと「緊張」について喋った。嘘はついていないと思うが何を喋ったか覚えていない。
そんなわけで改めて書いてみることにする。「私は(人前で演奏するのに)緊張なんてしない」と言ってる人に会ったことないし、たぶんいても信用しない。「おれはメンタル強いけど、誰某は弱い」とか自慢なのか悪口なのかわからない台詞を聞いたことあるけど「へえ、そりゃ初耳だ」と思った。
そもそもメンタルが強いとか本番に強いとはなんだろう。カザルスはいつもコンサート前には「キャンセルしたい」とか「帰りたい」とか悩んでたと言う。クラシックの音楽家は多いと思う。世界的な演奏家がよくドタキャンするのもそれじゃないかな。クラシックの人じゃなくてもライブ前にはちょっと吐きそうになる、という知り合いもいる。ただ彼らはきっと本番ではこなしているのだろう、緊張のあまりひどい演奏で罵声を浴びたりはしていない(はず)。さて彼らは本番に強いのか、弱いのか。
私はある時期から本番に強い、弱いとか考えなくなった。同じくメンタルが強い、弱いという言葉も信じていない。「そんなこと気にする?」と思うくらいの人が、別のことではちっともぶれずに気丈な面を見せたりする。人はなかなか一面的には語れない。気配りと一緒だね。こういう面は気がつくのに、ああいう面は無頓着。「完璧な人はいない」に落ち着く。そういうものである。
ただ各々不得手はあるだろうか。会場の雰囲気、お客さんの数(多いとき、少ないときなど)、親しい知り合いがいる、いない、で緊張したり、のびのび過ごしたり。多種多様である。
緊張感がないっても問題にもなる。録音で何度も取り直してると緊張感はなくなるけど、必ずしも良いテイクにはならない。録音を繰り返すうちに技術があがるわけでもなし、おそらく「適度な」緊張感が良いテイクを作っているのだろう。そう考えると緊張が常に悪い影響を及ぼすかもわからない、それだからこそのライブパフォーマンスになることもあるだろう。
ということで、繰り返しになるが、自身の緊張については考えなくなった。もちろんしていることもあるんだろうが、技術や能力が足りないのを緊張してたから、とか言うのもなんだか格好悪い。(わかってるかい、終盤ここぞのチャンスで凡退、走塁ミスをしてしまったベイスターズナインよ!)
そういやミルシテインという素晴らしいバイオリニストはこう啖呵を切っている。「私には、難しい、という言葉の意味がわからない。できているか、できていないか。そのどちらかだろう」

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