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阿部恭平の
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Vol.248
2024 03/08 Fri.
カテゴリー:

鳥山明世代

鳥山明氏の訃報を聞く。子供の頃からドラゴンボールを見ていたし、物心ついた頃からドラゴンクエストなるゲームが流行って、そこらでスライムのぬいぐるみを見るようになった。つまり自分などはど真ん中の世代なんだろう、幼少期学校ではみんな連載中のドラゴンボールの話をしていたし、ドラクエがどうのこうのっていう話をしていた。これまた現代と比べると古い慣習なのかもしれないけれど、テレビを見ている人達はテレビで放映したばかりの話をし、毎週ジャンプを読める人はだいぶ先の話も知っていて得意気にその後の展開を語っていた。自分は兄がやっていたのを眺める程度だったけれど、ドラゴンクエストもなんとなく出てくるキャラクターなどを目にしていた。(もちろん音楽も聞いていたけれど、それは割愛)

その後成長するにつれ、ドラゴンボールを見なくもなったし、ゲームもやらなくなったけど(ドラクエは幼い頃にやらなかった憂さ晴らしするかのように、20代後半の暇な時期にドラクエ3,4,5と毎晩寝る間も惜しんで一気に攻略したものだった。どうでもいいけど、ドラクエ5で選ぶべき女性はもちろんビアンカですよね)、20代半ばに鳥山明作品に触れたことを妙に覚えている。時期はフランス留学していたころ。自分にしてもなんちゅう時期だ、と思うけれど。

いつだったか、フランス語もだいぶわかるようになったころだった。なぜか日本の漫画が恋しくなり、フランスの古本屋で立ち読みをした。手に取ったのがドラゴンボール、しかもフランス語。元々のストーリーも一応知っているので、なんとなく意味もわかったし、少しはフランス語の勉強にもなった。最大限の悪口がImbecile!になっていて、日常会話では(留学生などが)絶対に使わないような表現だけど「ふーん、こんなふうに言うんだ」くらいに思った。フランス語で読んでいるわけなのだから、日本語が恋しくなったというよりは、純粋にその世界を堪能したくなったんだろう。それまでドラゴンボールが好きかどうかなんて考えもせず、読みたいと思ったこともなかったが久々に読み返したら思った以上に楽しかった。

その頃の私なんてキザな文学青年でもあったから「ジョイスとプルーストでモダニズムを極めた後、文学は行き詰っているよね」とか「やはり絵画のようなヨーロッパ映画に比べると、アメリカ映画は国の歴史と同じく幼いよね」とか、まあとにかく青臭くて偉そうなことを考えていた。そんな若造でもドラゴンボールを読むのがこんなに楽しくて懐かしいとは。どれだけ気取っても結局(自分を含めて)人間は大衆的なものから離れられないし、小難しい芸術に触れるとか高尚なことだけで生きていくことはできないな、と深く思ったのであった。クラシックの名曲を聴いてなんとも思わないこともあるし、下手くそなアイドルの歌が妙に心を打つこともある。どうしたって大衆的な、俗物的な性はあるし、そういったことに目をつぶって生きていくのも不自然だ。というようなことを、たまたま読んだフランス語のドラゴンボールに深く考えさせられたのであった。

待ち時間つぶしに書き始めたら思った以上に長くなった。次こそヴィクトル・エリセについて書こうかな。

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